サブを素手で捕らえる無謀さを肝に銘じているので、
チャックを開いた大きめの洗濯ネットの縁に針金を通した、
いわば柄を欠いた捕虫網もどきの作製を、家人に手掛けて貰った。
餌なりに夢中のサブの背後からそれを被せて取り押さえる。
その後、針金を抜き取って、チャックも閉じてしまう。
更に、ネットごとキャリーバッグに入れ病院へ、という算段。
その時には、私の方の怪我に備えて、長袖のシャツを着用し、軍手もはめる。
しかし、さて、サブの野生へ抗しきれるものか、十分な自信はない。
(その後、「半野良猫の捕え方」でネット検索すると、種々の事例が掲載されており、
サブの私への馴れ具合からして、彼女へのショックのより軽微な手立てもあり得ると、
その方向へ転換しつつある。
例えば、カツオ節など猫の好物をキャリーバック内に仕込んでおき、
当の猫をソフトタッチで抱き入れてやるなど――
蓋こそしなかったが、今朝一度施行したところ、思いの外スムーズに運んで安堵感を覚える。)
前回と今回で表裏ほど大きく異なっているのは、私の心持。
今回は、サブへ対する後ろめたさは、皆無に等しい。
これ以上、彼女が仔を産めばどうなるか?
それこそ、保健所へでも持ち込む他なくなってしまう。
それ以前に、この猫たちは、室内飼いには耐えられないと思うから。
通常より遥かに安価で野良猫に手術を施して貰える、
福岡市の「あすなろ猫」制度の枠を、先日取り付けたところだ。
3匹の仔猫たちを目の当たりにしたときには、
正直言って私は、仕事も手に付かなくなるくらい困惑した。
当初、サブ、チビを合わせて5匹を飼育することは不可能に思えた
――最も恐れていた事態になったと。
打開策として反射的に、遺棄や保健所への誘惑に駆られなかったわけでない。
それをどうにか押し止めたのは、
彼らをそのような目に遭わせておきながら、
何事もなかったかのようにその後の生活を営んで行けないと、
痛感されたから。
(続く)
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