よほど熱中症にでもなりそうな気配を自らに察知しない限り、
エアコンに頼らないことにしている。
室温、湿度ともに軽減されるのはありがたいが、
窓を閉ざしてしまわなければならないとは、
どうにも鬱陶しい。
まして嵌まっているのが飾りガラスだから、
屋外の光景――前の公園の樹木や、
空の彼方から遮断されてしまう。
今日は午後から曇ってきて、樹々の緑もくすんで見える。
雨を連れてきそうな風も出て来て、大小の枝ごとそれらが揺らめく。
――海中の種々の藻を連想させられなくもない。
大気、海水の動きとともに、それらは揺らめく。
視覚を通して揺らめく己の心にも触れていたい。
彼らと私との間に差別や区別はないのだろう。
にも拘らず、そのとき私は、確かな「私」を感ずる、
まるで、唯一の実在の顕われ方が、
彼我で異なっているだけであるかのように。
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