夜来の雨が、夕方に至っても降り止まない。
今日は、午(ひる)過ぎから、私の傍らの座布団に、
イチ(黒猫の兄弟の一方)が丸くなっている。
このひと月ほど、
猫一般の発情期に当たっているという条件も加味されてか、
1歳9ヶ月のイチも一人(猫)前と見なされて、
界隈のタフなオスどもから急襲される機会が度重なった。
5日ほど、雲隠れし、
私は、彼との再会を、ほぼ断念したこともある。
協会事務局内に、
一時的にせよ彼の居場所を設けるかどうか逡巡したが、
怯えや消耗感を漂わせ、
クシャミ、鼻水も出している有様を見かねて。
「フロント・ライン」を背中に垂らしてやったから、
蚤の心配はなし。
彼の寿命まで付き合うつもりで、
協会もあとそれくらいの期間は維持しなくてはと思ってきたが、
野良や半野良、取り分けオスが、
己の寿命を全うすることは容易でないようだ。
さて、今後、
屋内の一部と戸外とを、ガラス戸の隙間を介して往来しているイチに、
どのように対応したものか?
より具体的には、
私が休みのとき、宿泊のグループへ出かけている間、
彼をどう保護したものか?
考えているつもりが、つい悩みの領域に陥りがちになる、
命の重みに二都と猫の差別はないなどと。
(イチがつい今、座布団から起き出して、どんぶりの水を飲み始めた。
脱水症に促されてではないかと疑う。)
今からでも、“家猫”として貰って下さる方を探そうかとも思う。
甘え一筋で来たイチを象徴するかのような、彼の真ん丸なまなこが、
この数日、
生き抜いていく重みにひしゃげたように扁平となり“別猫”を想わせられたが、
私の傍らにいて、
ようやく元の輪郭を取り戻しかけている。
「一期一(イチ)会」の日々。 |