みんなの広場「こころのパレット」

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〈一期一会〉 引用
池見 隆雄 2020/2/18(火)15:51:24 No.20200218152202 削除
 夜来の雨が、夕方に至っても降り止まない。
 今日は、午(ひる)過ぎから、私の傍らの座布団に、
 イチ(黒猫の兄弟の一方)が丸くなっている。

 このひと月ほど、
 猫一般の発情期に当たっているという条件も加味されてか、
 1歳9ヶ月のイチも一人(猫)前と見なされて、
 界隈のタフなオスどもから急襲される機会が度重なった。
 5日ほど、雲隠れし、
 私は、彼との再会を、ほぼ断念したこともある。

 協会事務局内に、
 一時的にせよ彼の居場所を設けるかどうか逡巡したが、
 怯えや消耗感を漂わせ、
 クシャミ、鼻水も出している有様を見かねて。
 「フロント・ライン」を背中に垂らしてやったから、
 蚤の心配はなし。

 彼の寿命まで付き合うつもりで、
 協会もあとそれくらいの期間は維持しなくてはと思ってきたが、
 野良や半野良、取り分けオスが、
 己の寿命を全うすることは容易でないようだ。

 さて、今後、
 屋内の一部と戸外とを、ガラス戸の隙間を介して往来しているイチに、
 どのように対応したものか?
 より具体的には、
 私が休みのとき、宿泊のグループへ出かけている間、
 彼をどう保護したものか?

 考えているつもりが、つい悩みの領域に陥りがちになる、
 命の重みに二都と猫の差別はないなどと。

 (イチがつい今、座布団から起き出して、どんぶりの水を飲み始めた。
  脱水症に促されてではないかと疑う。)

 今からでも、“家猫”として貰って下さる方を探そうかとも思う。
 甘え一筋で来たイチを象徴するかのような、彼の真ん丸なまなこが、
 この数日、
 生き抜いていく重みにひしゃげたように扁平となり“別猫”を想わせられたが、
 私の傍らにいて、
 ようやく元の輪郭を取り戻しかけている。

 「一期一(イチ)会」の日々。

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