みんなの広場「こころのパレット」

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池見 隆雄 2020/3/21(土)12:26:09 No.20200321120555 削除
 何らかの出来事・現象に直面して、
 心が動盪(どうとう)して止まず、
 我知らず、「すばらしい」と口を衝(つ)いて出たとしよう。

 もし第三者がそれを耳に留め、
 共感的な心持へ誘われたとしたならば、
 「すばらしい」という言葉の意味合いより遙かに、
 それに伴っているところの声音の強弱、長短、深浅といった
 抑揚――文(あや)によってであるだろう。

 文こそは よりピュア(素純)に、
 発語者の心情を担っており、
 更には、言葉の真実味を保証すると思われるから。

 そして発語者は、
 共感を得られたことによって、人心地つける。

 言葉を発するという人間固有の行為は、
 元来、その者の欲求を満たすための術(すべ)でなく、
 ひとと共に生きるための、
 自(おの)ずからな「道」だった。

   以上は、小林秀雄著『本居宣長』、4度目の読書に煽(あお)られて。

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