No.1 |
|
野生の生物は老化しないか、非常に短い期間しか観測されていない。老化する前に食べられてしまうか、食
料が摂れなくなって死んでしまう。しかし、ヒトは社会により、他の生き物に食べられたり、飢え死にした
りすることは少なく、他の生き物に見られない長い老後の期間がある。本来は進化の過程で、長い老化した
期間のある生物は選択されてこなかったにもかかわらず、ヒトだけが例外的存在になった。老後がなぜでき
たのかを進化的に説明する仮説で「おばあちゃん仮説」という説がある。それにはヒトの子育てが非常に
手がかかり特殊であるとしている。私たちと遺伝的に近縁であるゴリラと比べると、大人のゴリラの身長は
ヒトの成人と同じくらいで、体重が2倍以上100s〜200sあるが、新生児の体重は2000gで人より小さめで、
難産になりにくい。ヒトの胎児は大きく、生むのに一苦労する。ゴリラは生後間もなく、自力で母親の体毛
を掴んでしがみついて移動する。ゴリラの母親は両手が使えるので、木に登ったり、食料をとったりでき
る。ヒトの母親は両手で抱っこしているので何かしようとするとき,一旦子供をベッドに寝かせなければなら
ず、ヒトの赤ちゃんはもの
すごく手がかかる。太古、おばあちゃんが元気で長生きの家族ほど子育てを手助けできるので、子供を持てるキャパシティが増え、子
沢山になったというのは想像できる。ヒトの長寿についての進化的な選択が働いたわけで、長寿が有利だった。体毛をなくした(退化)
「裸のサル」である私たちの祖先は、寒さをしのぐのに服をつくったり、火をおこしたり、家をつくる能力と技術や知能が発達した。
加えておばあちゃんの重要な役割を作り出し、結果的に「長寿」を手に入れた。進化は「変化と選択」の結果です。たまたま長寿にな
る遺伝子を持ったヒトが現れ、彼女たちが子育てに貢献したため、その長寿遺伝子を持つ人が選択されてきた。「選択されてきた」と
いうのは、長寿遺伝子を持つたヒトがより多くの子孫を増した結果、集団の中でその遺伝子を持つヒトが多数になっていったというこ
とである。
|