みんなの広場「こころのパレット」

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〈稀なもの〉 引用
池見隆雄 2025/7/17(木)14:33:07 No.20250717142856 削除
 多分、昨秋あたりから、
 朝倉友海さんの『スピノザ研究 概念と個別性』を折あるごとに繙(ひもと)いてき、
 ようやっとあと僅かを残すのみになった。

 その総括の内に、
 「そもそもスピノザは、至上の喜びと至高の幸福を手に入れようとする企てとして“哲学”を理解している」
 とある。
 また、スピノザ本人が、『知性改善論』の冒頭に、その趣旨あるいは決意を表明している。

 私はそこへ大いに共鳴し、スピノザ自身の著作や彼の哲学に的を絞った書物から、
 常にその真意を汲み取ろうとしてきた。
 当然、至上の喜びや至高の幸福は理性的認識のみならず、
 取り分け人間関係における実践なしには、そのものとして理解・体得するわけにはいかないだろう。
 ――スピノザの哲学が、ときに“実践の哲学”と称されるゆえんでもある。

 そしてもちろん、私は、そういう場としてエンカウンター・グループを捉えている。
 己(おのれ)の喜びを追求することが、全体のそれへと連結する。
 そういう瞬間を至上の喜び、至高の幸福といっても過言でないと思っている。

 朝倉さんの著作を読み進めるのは並大抵でなかったが、
 『エチカ』の最後は、
 「たしかに、すべて高貴なものは稀であるとともに困難である」
 と締め括られている。

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