みんなの広場「こころのパレット」

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〈手 際〉 引用
池見 隆雄 2020/8/31(月)15:04:28 No.20200831143334 削除
 新聞紙上に何度も広告が掲載されたから
   (近年、新聞の購読者数が減少しているとしても)、
 「掲示板」を閲覧される方たちもご承知かと思うけれど、
 “はがきの名文コンクール”(テーマ「一言の願い」)という企画が、
 毎年、この時節に催されている。
 確か今年で6回目。

 私は以前に一度か二度、応募したことがあり、
 今年も、賞金を、コロナのため研修会などの実施不可な協会の運営に充当しようとの、
 およそ現実離れの魂胆もまじえつつ、
 そういう気持ちに誘われた。

 今年5月25日(土)、私の帰宅直前に、
 手乗り文鳥(愛称サジ)が逃げ出した出来事を、題材に選んでいた。
 妻からその報せを受けたとき、私は文字通り、絶句したものだ。

 その出来事を「掲示板」へは投稿せず、
 却ってコンクールに応募することにした。
 20字以上200字以内というごく限られた字数に収める方が、
 自分の感情を制御するのに役立つように思えたのかもしれない。

 昨夏にはチビ(猫)の死について投稿したが、
 意に任せた文は、悲しみを蘇らせずにおかなかった。

 私の家へ迎え入れて間もない、およそ5年前のサジは、
 粟玉など幼鳥用の食物へ対して少しも欲求を表さず、
 途方に暮れかける私を尻目に、
 妻は、片手にサジを鷲掴みにし、我が胸にしっかりと固定させるや、
 親指と人差し指両の先で彼の嘴をこじ開けておき、
 もう一方の手の給餌器から食物を挿入するという芸当をやってのけた
 ――サジが嫌がってもがこうと、
   喉の直下に位置する胃袋を視認しつつ、それが一杯になるまで継続。

 そうして彼は、自分のことを人間と思いなしているとしか見て取れないほど、
 私たちに近しく、愛らしい存在に成長した。

 応募作の主部は、
 サジ喪失後、数日目、職場の私に応答した、妻のメールからなる。
 彼女は私以上に悲しいはずだが、
 その文面から窺える心のバランス維持の手際は、
 サジ養育に当たっての彼女を髣髴(ほうふつ)させた。

 コンクール落選の暁(あかつき)には、
 拙作をここへ投稿のつもりなので、乞うご期待(?)

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