みんなの広場「こころのパレット」

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〈吐 息〉 引用
池見 隆雄 2020/9/11(金)15:54:36 No.20200911144245 削除
 私の妻が、協会猫のイチのために、
 頼みもしないのに毛梳き用のブラシを買ってきた
 ――しばしば余計な食物(おやつの類)であるとか道具をもたらして、
   私の手間を増させるのだ。

 4,5回もブラシを掛けて貰ったイチには、
 その心地良さが既にしっかりとインプットされているらしく、
 昨夕、定時の餌を食べ終えて、協会の出入り口前の木陰に憩って(?)いる彼に、
 「ゴシゴシしてやろうか」と声を掛けると、
 暫しの間の後、何かを望むとき特有の細い高い声を発しながら、
 私の傍らへ来てゴロンと横倒しになる。
 頭から尻尾、喉元、手足の先端まで・・・・。

 今年の1月半ば以降、イチの生活環境は変転を重ね、
 恐らくそのストレスから、食物の摂取をほぼ拒否する具合で痩せ細ってしまい、
 私は心配するやら、悩むやら。

 ようやくこのひと月ばかり食欲が安定してき、
 そこへブラッシングまで加えられて、
 イチの黒い体毛が、今日は、清々とした光沢さえ放って見て取れる。

 私はつい、「ホーッ」と長い息を吐いた。

 協会猫――半野良の彼と、これからどこまで、付き合って行けるやら。

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