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きたろうの独り言 27
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近ごろ、仕事を放り投げて遊びに行くことを〔治療〕と称している輩がいるらしい……。
そういうことを耳にしていたので、まさか「加藤清正公」をお祭りしている神社の宮司がそんな言い訳をしてまで「釣り」にいったと聞いたときには、(あっ……)と思った。
(それほどまでにしたかったのか……)
これなのだ。
が、本人も治療と言っているように、こころが洗われるのだろう。
どうみても、腰にも心の臓にもプラスに作用するとは思えないけれども、それと
(気が晴れる……)
とはイコールではない。それを「生き甲斐」と言っても良いかもしれぬ。
ひとは、死ぬるために生まれてくる。この世に生を受けた時から〔矛盾〕の固まりだ。
死ぬために、毎日、食べて、寝て、排泄をするのだ。
(なんてことだ……。)
矛盾の固まりが集まって形作っているこの社会が、矛盾しているのは当たりまえなのかもしれない……。
そんな矛盾だらけの人間が、一杯の味噌汁に(旨い……)と感じた時、生きていることを実感することがある。そんな小さいことに「生き甲斐」を覚えることがある。
太平洋。
この壮大な海は、その昔、向こうにあるアメリカを希望の星に見立てて、胸を膨らました人びとがいた。
それほどの海だ。
そこに、船を浮かべ、釣りに興ずる。
何もかも忘れて、ただ棹の先に集中する。
手応え……。
手練を駆使し、釣り上げる……。
爽快、この上ない。
見渡せば、世界一の海の上。
至上の生き甲斐なり。
本日天気晴朗なれども波高し。
言い訳して行ったものだから、罰が当たってしまった……(笑)。
素直に行けば良かった。そうすれば、船酔いもなかったかもしれないのに……。
50センチがどうのこうのと言っているが、よく見れば新聞紙よりちょいと短いだけではないか……。これほどのは、そんじょそこらの店では売っていない。
(食いてぇ……)
ではないか。
マゲレイを焼いて食しても、イシガレイを刺身でも
(旨い……。)
これは、お酒だ。ビールやワイン、ウィスキーではいけない。日本酒にかぎる。
エンガワといわれるヒレと肉の間の、あの骨と肉の交じったところは、よほど脂が乗っているに違いない。
ああ、どうか江別市総鎮守たる神社の宮司よ。
治療でも、何でもよい。言い訳もいらない。大漁旗を掲げて、見せて欲しいものだ。これほどのカレイを……。ついでに……。クーラーを用意して待っている。
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