江別神社の境内は神をまつる聖地である。
地元では古くから「神社山」と呼ばれ、子供たちの遊び場でもあった。
みんな神様に見守られながら雑木林を探検したり、土器を掘ったり、お腹がすけば
木の実を食べたりして薄暗くなるまで遊び呆けた。
小生にとって「神社山」は自分ちの庭同然なので、本拠地の遊び場であった。
確か小生が小学校の五年生くらいの時、友人といつもの様に境内を見回っていると、
アベックを発見した。
この若い男女、1メートル近くにも伸びた草むらの中で何と「チュッチュ」しているでは
ないか。
もう五十数年以上も以前の話で、当時の江別は喫茶店やレストランなど若い恋人達が
デートできる場所など、そう多くは無かった時代である。
神社の境内は第一級のデートスポットなのである。
友人にアイ・コンタクトを送る。
当時の人気番組である「コンバット」のような「戦闘開始」である。
ポケットに玉砂利を忍ばせ、鳥居や灯篭に身を隠しながら敵に向かう。
敵の二人はもう夢中になって「チュッチュ」しているので我々に気がつかない。
数メートルまで近づき手りゅう弾ならぬ玉砂利を投げつけ、再び身を隠す。
もうまるで「チェックメイトキングツー、チェックメイトキングツー、こちらホワイトロック、どうぞ」
といった戦闘状態で、サンダース軍曹になり切っていた。
そして大慌てで逃げ去る敵の後ろ姿に、勝利の雄叫びをあげる小学生であった。
あれから何十年も経つが、今でもこの聖地は恋人たちを引き付けるのだろうか。
黄昏時、若い男女が肩を寄せ合うシーンを度々目にする。
もちろん、今はもう玉砂利を投げつけたりはしない。
|