この一と月ばかり、手足先の温感が著しく、ピリピリと、放電でもしているかの感触も伴う。それらの私の部位は、むしろ、ずっと冷たく、緊張の示標と見なしていたものだった。――その変化のきっかけには何も思い当たらない。
その熱いほどの温感が、他者へ対して、治療的に働くのではと想像されもし、試しに、家族や知人の「肩が凝る」とか、「目が疲れた」というのへ、私の掌を、当ててあげた。時間にして、1分前後。彼らは、口を揃えて、改善された旨を、表明する。
偶然が大方だろうから、それは、ともかく、冷から温への、指先の生理的移行は、生命の息吹が、体内を、巡り始めたように、心地良くはある。 |