みんなの広場「こころのパレット」

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〈秋の曲〉 引用
池見 隆雄 2014/9/11(木)14:35:59 No.20140911133954 削除
 大学で第2外国語にドイツ語を選択したので、
 今も、単語の意味は幾らか分かるし、文であれ発音は可能。

 音楽評論家の吉田秀和氏が、90代半ばから執筆された、
 愛聴されるリート(歌曲)をテーマとする随筆、『永遠の故郷』4部作には、
 老いて益々瑞々しく、鋭敏な知性・感性に一驚もしつつ、
 氏自身のエピソードも交えた歌曲への肌理(きめ)濃やかな道案内ぶりに感銘を受けたけれど、
 一方で、この形態に心を添わせるには、
 ドイツ語始め外国語への精通が不可欠と、
 自分の無資格に気落ちさせられもした。
 それが一昨年のこと。

 この4月には、イアン・ボストリッジのテノールを聴いたが、
 それは寧ろ、久しぶりに、
 演奏会という非日常のシートに、身を沈めてみたかったからで。

 近頃、新聞で、日本文学研究のD・キーン氏が、
 自らのオペラ好きを語る記事を見かけたが、
 ドイツ語もイタリア語も解さないという。

 オペラの主役である歌唱、あるいは歌詞のいちいちをも、
 純粋音楽同様、響きの妙として聴き取る。
 英語のオペラは、言葉の意味を追いがちになるので、敬遠するとのこと。

 私の従来の歌曲への対し方もこれに近かったものだから、
 随分心丈夫になった――「俺だって有資格者だ」と。

 昨晩の帰宅は夜遅くなったが、短時間でもと歌曲へ心が動いて、
 フーゴ・ヴォルフ(1860〜1903)の『ゲーテ歌曲集』から3曲ほど。
 さすがに夜気は秋めいて、
 歌、ピアノ伴奏の潤いを際立たせてやまない。

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