昨年12月30日、二女の〇回目の誕生日。
ケーキにろうそくは立ててくれるな、と本人からの要望。
彼女は、幼少早期から読書好きだったので、今回も、私からの主たるプレゼントは本。
今回は二種、ジェーン・オースティンの『ノーサンガー・アビー』と・・・
あと一冊がなかなか思い付かず、誕生日の4,5日前にやっと、
セルマ・ラーゲルレーヴの『キリスト伝説集』に落ち着く。
オースティンは、高校生のとき、私の蔵書の内から『高慢と偏見』に親しんで以来、
彼女のお気に入り。
昨年も、同作者の『マンスフィールド・パーク』を選んだ。
――仮に二女にとってそれらの作が既読だったとしても、
忘れっぽいという素質に恵まれているので、
ほぼ初見として楽しんで貰えるという安心感がある。
ところで、ラーゲルレーヴといっても、ご存知の方は少数者かもしれないと思う。
『ニルスの不思議な旅』の作者といえばお分かりだろうか?
この作は、曾ての二女の最大の愛読書の一つで、現在も、その三冊本が、我が家の書棚に並んでいる。
『キリスト伝説集』を選んだ動機の一方は、『ニルス・・』に基づく彼女の好尚への判断。
もう一方は、私自身が、学生時代にそれを文庫で手に取ったときの、
いまだに色あせない意外性と清々しさの入り交じる、独特の趣向の享受を、
二女に引き継いで貰えればという、少なからぬ自分本位。
なお、ラーゲルレーヴについて記せば、この人は、スウェーデン生まれの女流作家で、
1909年度のノーベル文学賞の受賞者――初のスウェーデン人、及び女性ノーベル賞受賞者でもある。
大変早熟な人だったらしく、10歳にして聖書全篇を読み抜いたという。
垢抜けた装丁のキリスト教系の出版社から出ているその作の、
読後感を聞かせて欲しいと二女に要請している。
昨年9月下旬の私の誕生プレゼントとして、二女の方も、書籍を贈ってくれた。
ナラティヴセラピーの入門書と、『言語の中動態・思考の中動態』。
これらは、私の方からリクエストしたのだ。どちらも、私の仕事への参考書として。
こちらへ貰う方はむろん、贈る方の書目も、
私の場合、先に記したように、けっこう自分本位だ。
それをやんわり受け止めてくれる鷹揚(おうよう)さが、彼女には具わっているようだ。
彼女と愛犬のエル(トイプードル、7歳、男の子)、そして私たち夫婦とで、
ときどき山歩きを楽しむ。
――彼女が、「エルも寿命の半分」と洩らしたことがある
(エルのような小型犬の寿命は、15歳くらいと見込まれているらしい)。
この日常的な一コマも、いつかは懐かしい思い出になる、
そうに違いなかろうが、臆せずより真実へ目を転ずれば、
今日この日、この一日への没頭にこそ、“永遠”が影を落とす。
具体に即していわば、
歳を重ねる(変化する)エルとともに、7年前、昨日、明日も、普遍の彼が存在する。
――存在することそのことが、私たち存在者の本質。 |