〇〇 □□ 様
昨今、ようやく、秋も深まって来た。
先日は、K叔父さん(□□の実父)の逝去を報せてくれて、ありがとう。
今年の8月3日が命日とか。―― うちの母が逝ってほぼ1年後ということだね。
私どもも寂しいが、T叔母さん、M叔父さんは、ひとしおだろうと推察される
(私の母と以上の叔父、叔母は兄弟妹)。
振り返ってみると、里帰りの母に伴われてそちらを訪れた幼少年期の私や妹へ、
K叔父さんはいつも優しく対応して下さったものだった。
――M叔父さんとは、仏間を土俵に見立てて、よく相撲を取ったよ。
優しい子供でなかった私は、□□君を泣かせてしまったこともあった。
覚えていないと思うので幸い。
ところで、人間関係について思い巡らさざるを得ないようなとき、
いまだに思い出すK叔父さんの発言がある。
確か30年くらい前の歳末、叔父さんご夫婦にうちの両親、うちの一家ともども、
温泉旅館に宿泊する機会があった。
夕食を摂りつつ、銘酒を酌み交わしつつ、どういう話の流れからだったか私からK叔父さんへ、
部下や従業員への対応の仕方を尋ねたところ、
「一度も叱ったことがない」と言われた。私は信じられない思いで、
「叱ったことがないんですか」と問い返す。叔父さんは言葉を継いで、
「叱っても良くならないから」と。
私自身は叱るべきときには叱った方が良いと考えていたわけで、
実際その方が互いの関係改善に役立つという経験の方が優っていたが、
叔父さんにそう言われてみればその方が本来かもしれない、
と胸中に刻まれたのだった。
しかし、改めて思い返せばその行き方は、部下への対処法というより、
K叔父さんのお人柄の根っ子を表しているのではなかろうかと思える――あるいはその一族の。
□□君は、お父さんに叱られた経験があるだろうか?
場合によっては部下を叱るのだろうか?
以上のようなこと、何かの折に、△△ちゃん(□□君の姉)へも伝えて貰えれば幸い。
――△△ちゃんを泣かせてはいないはずだが、2B弾(花火の一種)で恐がらせた覚えがある。
末筆ながら、K叔父さんのご冥福と、
□□君ご一家また会社経営の更なるご発展を祈ります。
11月〇日 池見隆雄
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