12世紀ドイツの女性、ヒルデガルト・フォン・ビンケンの作品を収録したCDを入手する。
最近、ある書物によってこの女性の存在を知り、
驚かされ、
その音楽作品に強く惹かれた結果だ。
彼女は8歳で修道院に入り(正式に修道女となるのは15歳)、
よき師の導きを得て、神学のみならず43歳ごろから神の啓示に従って、
神学に限らない多方面の著作を物し始める。
そして預言、作曲。
――彼女をドイツ最初の作曲家と見なしてもよく、
大部分は典礼用だけれども、オペラの起源というべき大作さえ含まれる。
序でに述べれば、彼女の聖職者督励のための説法は舌鋒鋭く、
イエズスその人を想わしめるほどだった――その筆録も今日まで伝えられている。
また、彼女を慕ってくる多数の人々のために、
皇帝の援助も得られて二つの修道院を建立したという。
最初にそのCDをかけたとき、私は心身両面で状態が思わしくなく、
しかし、「こんなときこそこの人の曲を」と思い立ったのだったが、
あたかも宇宙の秩序が身内に沁み込んでくるかのような蘇りを満喫したのだった。 |