北恵那鉄道は、本当に撮りたくて、それなのに間に合わなかった憧れの鉄道だ。廃線後ほどなくして中津川に降り立った私。駅のあった連絡通路はすでになく、大きく回り込んで駅跡へ。立派な駅舎は更地になって立ち尽くす私。車庫跡に木工場となった、色の褪せた車両を撮り、車両が残っているという、日暮れまじかの山田之川までバスに飛び乗った。その時のカットがこれで、数年前再訪した時、昔のカットを持たずに、なんとなくカメラを向けたカットに、奇跡的に同じ画角のカットが撮れたものを並べた。同じ形の木や、山の稜線が数十年前の中学生だった自分が、何度もため息をついた場所を思い出させてくれる。あの鉄道のくすんだオレンジと緑の塗装が大好きだった。でも尾灯の外された電車は、全然納得いかなくて、何故現役時に来れなかったか、自問自答して日が暮れた。終点下付知へはタイムアウトで無理だったし、気分もここでどん底だった。あの時親戚の家に帰らず、一泊して下付地を目指せば、木造電車が撮れたであろうに・・・。
後悔に後悔を重ねた愛すべき鉄道は、今も心の中で、裸電球ともる木造駅舎の脇から、白熱灯を灯した車内と、うなるような吊りかけモーターを残して、闇の中に尾灯を灯して消えていくのだ。
|