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帯書きのコピーが目に入った。2017年新書大賞、累計60万部突破、よく売れている本だ。表紙裏のコピーがきつ
い。社会にはきれいごとが溢れている。人間は平等で、努力は報われ、見た目は大した問題ではない。これらは
絵空事だ。往々にして、努力は遺伝に勝てない。知能や学歴、年収、犯罪癖も例外なく、美人とブスの美貌格差
は約3600万円だ。子育てや教育は徒労に終わる。進化論遺伝学、脳科学の最新知見から人気作家が明かす残酷す
ぎる真実。口に出せない、この不快な現実を直視せよ。なんだかおどろおどろしいが読んでみたくなった。
ちょうどど34刷目が発売された年初に読んだ。
[遺伝にまつわる語られざるタブー] 親から子へと外見や性格が遺伝することは昔から知られていた。背の高い
親の子供が長身なのは当たり前で、せっかちな子供を「親に似たのね」と評するのもごく自然。一方「トンビ
がタカを生む」という諺があるように、親とは違う形質を持つ子供が生まれることも分かっていた。次の3つの
文をどう感じるだろうか。@子供が逆上がりが出来ないのは親が運動音痴だからだA子供の歌が下手なのは親が音痴だからだB子供の成績
が悪いのは親が馬鹿だからだ。@とAは笑い話で済まされるだろうが、Bは公に口にしてはならないとされている。運動神経や音楽の才能と
同様に知能も遺伝するのなら、努力は無駄になって教育は成り立たなくなってしまう。だから、自然科学の研究成果とは無関係に「知能は
遺伝しない」ことになっている
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