みんなの広場「こころのパレット」

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〈 息 〉 引用
池見隆雄 2021/4/30(金)12:48:36 No.20210430124314 削除
 庭に立って漫然と
 そこらあたりに目を放っていると
 ふいに
 微かだが実の詰まった「ヒューヒュー」音が
 届けられた

 木の葉は揺らめいているし
 風の存在証明かと思ったが
 次に届けられたとき
 大気と鼻腔との擦過音だと

 私は息(生き)ているよ
返信(3)を読む 最新返信日:2021/5/1(土)16:51:49

〈無条件〉 引用
池見隆雄 2021/4/23(金)13:59:03 No.20210423135708 削除
 空いっぱいの晴れ

 無条件の晴れ

 心底の喜びも無条件

 また無限大

〈天道虫〉 引用
池見隆雄 2021/4/19(月)14:09:53 No.20210419133927 削除
 先日の日曜日、4週間ぶりに山へ出かける、
 気候がよくなってきたので弁当持参で。
 それを開いている最中、ふと、ズボンの脛(すね)のあたりに目を落とすと、
 天道虫(テントウムシ)が貼りついている。
 モスグリーンの生地に、彼の翅のエンジ色が映える。

 ついこの前まで、彼は、私たちに身近な昆虫だったが、
 本当に久し振りに、旧友と再会したかのような心持に誘われる。
 家内へその虫を示し、
 「そういえば、雨蛙もいないね」
 「ああ、雨蛙ね・・・」

 仕事場でも、ふいに、窓の直ぐ向こうで、蛙が、
 聞きようによっては哀調を帯びた喉を震わせるのが耳に入り、
 目を上げると、あたりが薄暗くなっている。

 自然の風物を名に負う生き物たちが、
 しだいに私たちの目の前から失せつつある。

 それにしても、この小さな虫が、なぜ〈太陽〉なのだろう?
 球体で炎を想わせる体色だから?
 心なしか、私の心身も、ほんのり暖か味を帯びてきた気がする。

 確かにこの虫は私たちに比べれば、取るに足りないほど微小だ。
 しかし、太陽にすれば、彼と私たちの差など意味を有しない。

 天道虫は、私たちの大小、その他の概念による差別・区別なく、
 生きとし生ける者たちへ太陽が、等しく恩恵を注いでいる事実を、
 微小なからだであるが故に逆に象徴しているのか。
 太陽自体、宇宙の中では、微小な存在に過ぎない。


 食事も終えて立ち上がる前に、天道虫を指先で捉え、
 落葉・朽葉の重畳(ちょうじょう)に下ろそうとすると、
 それまで静謐(せいひつ)を保っていたのが、とたんにジタバタする。
 
 翌日は雨天。
 ――こんな天候をあの虫はどのようにやり過ごすのか、
 と気に掛かった。

 

〈自 由〉 引用
池見隆雄 2021/4/9(金)14:04:48 No.20210409134422 削除
 毎春、藤棚の山藤が満開を通り過ぎる前後の一週間ほど、
 どこからともなくまるまるとした大型の蜂(マルハナバチ?)が飛来する。
 いつも決まって7〜8匹。

 この界隈に、彼らが、住処(すまい)とできそうな区域に思い当たらない。
 第一、このときの他、見かけることもない。
 福岡市の副都心の一つと言われる「大橋」に近い住宅街。

 この蜂の飛来は、既に何十年か継続されていると思う――
 とすれば、代々の蜂に、この藤棚の位置が申し送られているはずだ。
 それに、年によって開花の時期は変移するのだから、そこをどうやって嗅ぎ分けるのか?
 考えてみると不可思議でならない。

 そうした昆虫の能力につき科学で部分的に解明されているかもしれないが、
 といっても、脳研究と同様、
 一つのことが分かるとその10倍、20倍もの新たな疑惑が生起してくる
 というのと同断なのではあるまいか?

 ところで、私たちも、両親、祖父母はいうに及ばず、
 遠い祖先以来、いや増しに伝えられてきた智慧(と、恐らく慈悲)の蓄積を
 持ち合わせているのではなかろうか?
 にも拘らず、私たちの分別や欲望に覆われて、それらはほぼ陽の目を見ないで葬り去られる。

 例えば、この庭へ飛来する蜂たちは、
 智慧と慈悲という自然の必然に従って、安心して自由に生きているのではなかろうか。

 スピノザだったか、その人の本質(必然)に添う生き方ほど自由だと。

〈葉桜に当たって〉 引用
池見隆雄 2021/4/8(木)14:04:48 No.20210408135833 削除
 (既に葉桜という昨今、以下のような投稿に気後れも覚えつつ、
  明春まで温存できるほど気長な性格でないゆえに。)

 桜は、咲き初(そ)めのとき。

 天を切り裂くほどではないが、

 正しい輪郭を保ち、

 何ものも拒(こば)むことなく、

 己を主張する覚悟。

〈微 笑〉 引用
池見隆雄 2021/4/5(月)14:35:00 No.20210405142405 削除
 協会の台所のシンクに入り込んだ、中ほどの大きさのクモが、
 ステンレスの壁をよじ登れず餓死すると見込まれて、
 その縁から底へ、雑巾の梯子(はしご)を垂らす。

 芥川の『蜘蛛の糸』のシチュエーションとは反対の極み、
 罪と迷いだらけの者が、無垢のクモに情(なさけ)をかけて。
 それが夕方のこと。

 翌朝、
 そこに不可欠の道具類の陰などシンク内部をためつすがめつしたが、
 クモの姿は見当たらず。

 安堵感が、微笑となって、身中を吹き抜けた。

〈フレデリック A〉 引用
池見隆雄 2021/4/2(金)13:49:02 No.20210402132058 削除
 絵本『フレデリック』を知ったきっかけは、
 その当時、福岡市郊外「油山」のふもとにあった、
 カトリック修道院付属の「黙想の家」へ友人とともに二泊したときのことだった。

 30代前半の私に、カトリックの信者になる志が生まれかけており、
 いわば、霊的な指導を求めてそこを訪れたわけだった。

 最初、小部屋に招じ入れられ、
 修道院長のS神父から、「これを読んであげましょう」、と
 表紙に愛らしいネズミの絵のあしらわれた本を示され、
 ふと肩の力の抜ける安堵感を覚えたものだった。

 よく透るバリトンで読み終えられ、
 「この絵本がどういうことを言いたいかお分かりですか?」、と私たちへ問いかけられる。
 それに対し、
 「分かります」、と間髪を入れず、少しの迷いもなく私。
 もちろんそのとき、脳裏には、
 「人はパンのみにて生くるにあらず」という、一般的にもなじみ深い聖句が躍動していた。

 しかし、神父は、
 「では、どういうことか、言ってみて下さい」、と重ねては問わず、
 あたかも保母さんが、園児の頭を撫でるかのような、おうような微笑みを浮かべられた。

 この指導の後、私が求めてきたのは、
 こういう、特定の理由、原因に限定しないおうような姿勢かもしれないと思い、
 とともに、うちの子供らへも、その絵本を買い与えようと心決めていた。

 就学前後の3人の子らには、そのテーマは納得しがたかったろうが、
 彼女らの発音に従えば『フデデリック』を、何度も回し読みして飽きなかったようだ。

 ところで私は、紆余曲折を経て、カトリックへの入信に落第。
 しかし、縁あって10数年前から昨秋まで、福岡県宗像市へ移転した「黙想の家」を、
 春秋の3泊エンカウンターグループの会場として、大いに重宝させていただいてきた。


 『フレデリック』のテーマは、グループの精神へも通ずるだろう、
 時と場合により一人ひとりが主役、そして平等。

〈フレデリック〉 引用
池見隆雄 2021/3/31(水)14:26:52 No.20210331140353 削除
 レオ・レオニーのよく知られた絵本の一つに、『フレデリック』がある。
 ここ何十年、手に取ることもなかったが、おおよそ、こんな筋立てだったか。

   野ネズミたちが、来たるべき冬の巣ごもりに備えて、
   日夜、食料の備蓄のためけん命に働いている。
   それなのに、フレデリックという名のネズミだけは、
   ぼんやりしたふうで、仕事に加わろうとはしないのだ。

   とうぜん、他のネズミたちは、彼のありさまを快く思わず、
   仕事の合い間に、冷ややかな視線を投げる。

   厳冬下、地下の穴ぐら生活が始まっても、
   ネズミたちは備蓄した食物のお陰で、ぬくぬくと過ごすことができている。
   フレデリックといえば、そんな中で、肩身が狭そうだ。
   ――他のネズミたちの労働のいわばおこぼれに預かっているのだから。

   しかし、冬ごもりも長引くにつれ、食料も乏しくなり、
   しだいにネズミたちから陽気さや活気が失われ、
   春への希望も途絶えがち。

   そのときに当たって、フレデリックはすっくと立ち上がり、
   他のネズミたちが働いている間に、彼の内に育んだ風物の豊かなイメージを基(もとい)にして、
   地上や天界のさまざまなありさま、できごとを色鮮やかにデフォルメして朗誦する。

   ネズミたちそれぞれの胸中に、再び来たる春への希望が点り、
   とともに、彼らはてんでに声を上げる、
   「フレデリック、君は、詩人じゃないか」
   頬を紅に染めながら、
   「そう、ぼくは詩人さ」

 うちの子供たちにこの絵本を買い与えたとき、
 私はけっこうな歳だったわけだが、
 ――こんな詩人になれたなら、
 と 秘かな憧れを抱いたものだった。

〈まぶしさ〉 引用
池見隆雄 2021/3/29(月)15:21:15 No.20210329151935 削除
 風の早春は ダイヤモンド

 吹かれて まぶしい

 呼吸が まぶしい

〈この日〉 引用
池見隆雄 2021/3/26(金)15:43:21 No.20210326153928 削除
  下手くそなウグイスが

  調べの向上にけん命

  それでも眼前に

  まだ開かぬまま花は開き

  木々らは語り始める

  過去と未来の接点たる この日

  この庭で

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