みんなの広場「こころのパレット」

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〈透明な時間〉 引用
池見隆雄 2022/8/23(火)14:14:29 No.20220823133638 削除
 一昨日の日曜日、昼食後、車で近傍の農村へ出かける。
 鎮守に参礼した後、その裏の農道を歩き始めて間もなく、
 私の直ぐ後ろからついて来ていた家内が、虚を衝(つ)かれたかのような悲鳴を上げるので、
 振り向きざま足元へ目視を落とすと、
 S字形に身をくねらせた縞蛇が、鎌首をもたげていた。
 体長1メートルくらいだろうか。

 互いにその態勢のまま数秒(家内によれば10秒ほど)が過ぎたところで、
 私にしては珍しく携帯していたスマホで写真を撮ろうかと思い付いたが、
 と同時に相手は、境内との境をなす元の斜面の草むらへ這い込んで行く。
 尻尾の先を震わせて、「ビーン」と聞き取れる異音を発しつつ。
 尻尾を引っ張ってやろうかといういたずら心の私に兆したのを覚(さと)ったのでもあろうか?
 家内が、「ガラガラ蛇みたいね」と冷静さを取り戻して評する。

 後で思い返してみると、蛇と対峙していた数秒、ないし10秒ほどの間、
 内面には、喜びはもとより恐れや敵対心、また欲といった動きはほぼ皆無だったように思う、
 譬えれば、何らの影も宿さず、静まり返っている池の面、
 覗き込めば、水底の砂や何かが、くっきりと見て取れる、
 あるいは、一言に言えば透明なひととき。

 そこへ撮影して他の人へも分かとうという欲のさざ波が立ったとき、
 相手も動き出した。

 何にしろ、その遭遇の前、うだる蒸し暑さに閉口していたのが、
 その後では、残暑という気候を肌身に味わうといった
 懐かしく清新な心持に切り替わっているのに気付かざるを得なかった。

 早や実りかけた一面の早稲の田、
 頭上隈なく広がる藍(あい)を湛(たた)えた空、
 重厚で多彩なオブジェめいた雲・・・・・。

 妻が証言するには、蛇は、斜面を滑り落ちてくる具合で、
 全く唐突に、前後する私と妻との間に身を現したという。
 この小文を記しつつ私は、
 彼が“存在”のレベルで、私たちと同等であることを暗示せんと欲したのでは、
 と疑い始めている。
 あまりに唐突な出現が、私の内に透明な時間を喚(よ)び越こし、
 そうした質感の出会いを可能にした!?

 ――人の上に神なく人の下に生物なし。
 

〈私の癖〉 引用
池見隆雄 2022/8/19(金)15:57:46 No.20220819155138 削除
 今西さんは若い時分、柳田国男の『遠野物語』を、
 暗唱するくらい繰り返し読んだという。
 煽(あお)られやすい私は、それを入手することに。

 そうでなくても、
 私は、きっかけを得て、
 新たな書物に親炙(しんしゃ)できるのを大いに好む。

 つい今さっき、『遠野物語』が配達された。

〈雲 へ〉 引用
池見隆雄 2022/8/17(水)15:06:43 No.20220817150516 削除
 見飽きもせず
   雲の峰
    雲の谷

〈言 葉 A〉 引用
池見隆雄 2022/8/16(火)13:54:37 No.20220816134139 削除
 「自然学の提唱」よりの、昨日の引用のみでは、ピンとこない方もおられるかもしれないので、
 そこを敷衍していると私に思われる箇所も引用しておこう、

  「もしもこの地球上の生物が、いろいろな星から移住してきたもの、
   すなわち起原を異にしたものの寄合い世帯であったならば、
   私もその間で闘争の起こる可能性を認めないとはいわないだろう。
   しかし、もとは一つのものから分化発展したものとみるならば、
   その部分同士のあいだに闘争がおこると考えることは、
   有機体論者の立場からでなくとも、まったくおかしい、
   考えにくいことでなければならない。」

 この箇所でもやはり、私は、身震いしかけた。
 その反応の同質性によって、昨日と今日の引用箇所の対応関係が、
 私自身には納得される。 

 

 

〈言 葉〉 引用
池見隆雄 2022/8/15(月)12:33:27 No.20220815122844 削除
 この頃、心に残った――よりリアルな表現にすれば
 身震いしそうになった、言葉。
 今西錦司さん『自然学の提唱』より、

 ――人の上に神なく、人の下に生物なし。

 恐らくこれは、スピノザの思想(直観)へも通じていると思われる。

〈旱 天(かんてん)〉 引用
池見隆雄 2022/8/13(土)14:31:25 No.20220813142758 削除
 どうせなら
  潤い添えよ
    セミ時雨

〈俳句めいて B〉 引用
池見隆雄 2022/8/12(金)15:00:27 No.20220812145732 削除
 この母の子に生まれて良かった、ふと思い

〈俳句めいて A〉 引用
池見隆雄 2022/8/9(火)14:54:36 No.20220809145243 削除
 亡き母と
  共に身に沁む
      蝉の声

〈俳句めいて〉 引用
池見隆雄 2022/8/6(土)13:37:10 No.20220806133527 削除
 蝉鳴きて
  我ならざる日
    暮れんとす

〈不 躾〉 引用
池見隆雄 2022/7/30(土)14:43:42 No.20220730142727 削除
 私の母は大変犬好きだったので、そのためばかりではないが、
 曾ては、種々の犬が、ほとんど途切れることなく我が家に飼われていた。
 ――曾てというのは、私が、結婚して自家を出る前後まで。

 そして、この何年くらいだろうか、私の甥は、自分の祖母に、
 誕生日ごとに、犬の縫いぐるみをプレゼントしていたらしい。
 私はその事実を、葬儀の当日に初めて知った。
 だいたい、二階の母の寝室をでも飾っていたのかその実物を見たこともなかったし。

 仮祭壇が母宅の仏間に設えられたのも葬儀の当日。
 その翌日、祭壇の前に据えられた小机に、大きな耳の垂れた犬の縫いぐるみが、
 前脚を机に置く姿勢で、母の遺影をじっと見つめているのに気付いた。

 甥の仕業と想われる。
 彼の気持ちを、作り物に込めたのだろう。
 その目は、あたかも生けるもののように、潤った表情をたたえている。

 祭壇と縫いぐるみの絡み具合が、一目で私には愛らしく印象付けられ、
 やがて、双方の写真を別に撮影し、横並びにフェイスブックへ投稿しようと意図された。
 翌午前、「母の遺影を見つめるワンちゃん。今月19日、母、他界。享年98」
 という文を付して投稿した。

 十名余の方が、リアクションやコメントを送信して下さった。
 そのどれも、私の母の喪を悼んで下さっている。
 大変ありがたいと共に、私の構図への関心をも感じ取っていただけただろうかという、
 不躾で欲張りな疑心も湧いた。

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